美術文芸誌『ヴェルヴ』第02号

Verve No.2

出版	：ヴェルヴ出版（パリ）

制作年	：1938年

サイズ	：36×27 cm（本）

技法	：リトグラフ、エリオグラヴュール

部数	：

備考	：表紙はジョルジュ・ブラックによるリトグラフ　カンディンスキー、マッソンによるリトグラフ各2点収録　総ページ数：124

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作品解説

美術文芸誌『ヴェルヴ』　"Verve"

『ヴェルヴ』は、1937年、ギリシア出身のエフストラティオス・エレフテリアード（通称テリアード）が創刊した美術文芸誌です。1960年まで全26冊が刊行されました。「Verve」はフランス語で「熱気」の意。特に注目に値するのが、画家によるオリジナル・リトグラフを多数収めた点であり、登場回数が最も多いのはマティス、ピカソ、シャガールといった20世紀美術を代表する画家。フランス語版のみならず英語版も出版された＜世界で一番美しい雑誌＞は、多くの美術愛好家を魅了しました。

『ヴェルヴ』第2号

『ヴェルヴ』第2号のために、多彩な作家、画家たちが協力しています。表紙のためにオリジナル・リトグラフを手掛けたジョルジュ・ブラックを筆頭に、カンディンスキー、マッソンも２点ずつリトグラフを制作しました。これらのリトグラフはパリのムルロ工房で制作されました。加えて、ブラッサイやカルティエ・ブレッソンら写真家、ポール・ヴァレリー、ピエール・ルヴェルディ、ジョイス、マルロー、ヘミングウェイら文筆家の顔ぶれも豪華です。

略歴

ワシリー・カンディンスキー　Wassily Kandinsky（1866-1944）

ロシア、モスクワ出身の画家であり美術理論家。抽象絵画の創始者とされる。ドイツ及びフランスで活躍し、のちに両国の国籍を取得した。 1886年から1892年までモスクワ大学で法律と政治経済を学ぶ。ミュンヘンで絵の勉強を始め、象徴主義の大家フランツ・フォン・シュトゥックに師事。ベルリン分離派展およびパリのサロン・ドートンヌに出品を始める。1909年に新ミュンヘン美術家協会会長となるが1911年にはF.マルクとともに脱退し「青騎士」（表現主義者のための芸術家サークル及び専門誌）を結成。 1910年に最初の抽象画を手掛け、絵画表現の歴史の新たな一歩を記している。代表作の『コンポジション』シリーズはこの最初のドイツ滞在期に制作された。革命後、モスクワに戻る。当時のソ連では前衛芸術はレーニンによって認められておりカンディンスキーは政治委員などを務めた。しかしスターリンが台頭するにつれ前衛芸術が軽視されるようになり、スターリンが共産党書記長に就く直前の1921年に再びモスクワを離れてドイツへと向かった。 1922年、バウハウスの教官なる。1933年にナチス・ドイツによってバウハウス自体が閉鎖されるまで勤務。1941年にフランスがナチスによって占領されたのにも関わらず、アメリカへの移住を拒否し続け、パリ郊外のヌイイ＝シュル＝セーヌでその生涯を閉じた。なお、1928年にドイツ国籍、1939年にフランス国籍を取得している。